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夏期講習 社会×国語コラボ「くずし字講座」

夏期講習会で、社会科と国語科のコラボレーション講座として「くずし字講座」を開講しました。社会科パートを「歴史編」、国語科パートを「文学編」として、3日間で中学1年生、3年生、高校3年生の生徒たちと様々なくずし字の判読を行いました。

1日目は、ウォーミングアップということで、まずは社会科教員が撮影した写真を見ながら街角の変体仮名を読み、自分の名前をくずし字で書くことに挑戦しました。その後、くずし字の成り立ちについて国語科教員から説明をし、単語から百人一首の和歌まで変体仮名に気を付けながら文字を推測して読む練習をしました。現行の字母とは異なる文字に苦戦したものの、だんだんと「あ!」と明るく嬉しげな声がたくさん聞こえるようになりました。

2日目は、「文学編」で古典文学を読む実践演習として、国文学研究資料館蔵の版本『伊曽保物語』中に収録された第十三のお話「犬しゝむらの事」の翻字に、じっくりと2時間かけて挑戦しました。漢字仮名交じりの文章ですが、全ての漢字にふりがなが付けられているので、ヒントは得られます。しかし、言い回しを予測するには古文の知識もある程度必要です。そこはやはり高校3年生が支えてくれました。とはいえ、読み進めていくうちに、幼い頃に読んで知っているお話であると気づく生徒もおり、特に漢字の多い後半もなんとか読みきることができました。

3日目は、「歴史編」で古文書の翻字をする本格的な実践演習です。手始めに旧字体や異体字、元号、十干十二支などの知識を確認してから、古文書における年代の翻字をしました。その後、候文の言い回しを確認して古文書の一部や、三代広重の「東海名所 改正五十三駅(道中記)」(国立国会図書館デジタルコレクションより)の川崎駅の説明の翻字にも挑戦しました。特に候文は時代劇の中で見聞きする程度にしか知らなかった生徒も、慣れてくると言い回しの予想がつき始め、「あれじゃない?」「これにしか見えない!」「これってもしかして『御』?」などと議論しながらわいわい楽しく読み進めました。社会科教員からはAI(人工知能)を用いた翻字アプリもいくつか紹介されましたが、版本は比較的正しく読むものの、写本はまだまだ人の目の方が確かであるという事実から、くずし字講座の意義をみなで再確認しました。

活字の溢れる現代と比べて、原則として手書き以外に記録方法のなかった時代は読むのも書くのも一苦労だったことでしょう。時代を経た今、古典籍や古文書を読むのはもちろん骨が折れます。翻字には、文字に目が慣れることと、謎解きのように柔軟な思考が求められるからです。なかなかにハイレベルな内容となりましたが、生徒達がこの講座をきっかけにこれまで以上に美術館や博物館での古い書物に親しみ、読める楽しみを実感できるようになりましたら幸いです。