カリタス学園とSDGs

理事長 齋藤哲郎

カリタス学園は、創立以来、「普遍的愛をもって人に尽くす人間の育成」をすべての教育活動の土台としてまいりました。(学園名のカリタスは、ラテン語でこの「普遍的愛」を意味します。)そして、創立60周年を過ぎた今、これからの社会状況を念頭において、「いのちの尊厳を伝える学園」をめざすことを特に強調しています。
この基本的な価値観に照らして、私たちは、国連主導のもと各国が2030年に向けて努力しているSDGs(持続可能な開発目標)の達成を支持します。そして、教育の分野で一定の貢献ができるよう、教育内容に常に工夫を凝らしています。
昨年には、学園のこうした姿勢を明確にするために学園が所在する川崎市に申請を行い、「かわさきSDGsゴールドパートナー」にも認証していただきました。この申請にあたって、学園がすでに重点的に取り組み、これからも強化しようとしている主な項目として、次の3点を挙げています。

  • 宗教科等の授業、探究的な学び、様々な行事、奉仕体験、募金活動などを通して、「社会の中で小さくされた人々」との共生をテーマとし活動している。

  • 英語とフランス語の複言語教育の他、グローバル教育プログラムや海外研修の機会を多数設け、文化の多様性への理解と平和の構築への意識を育成している。

  • 多摩川や多摩丘陵についての体験や学習に総合的に取り組み、様々の探究的な学びの中で環境問題を主要テーマとしている。

貧困や差別、気候変動や環境破壊、不正や戦争など、今、私たちが直面し地球規模で考えなければならない課題はたくさんあります。これらの課題の解決は、私たち大人以上に、未来を生きる子どもたちにとって一層大切なことです。
カリタス学園はこれからも、持続可能な社会の在り方について子どもたちとともに考え、子どもたちがより良い未来の主体的な担い手となることができるよう、教育活動に一層力を入れてまいりたいと考えています。


本校では、「普遍的な愛を持って人に尽くす人間」を育てることを教育ビジョンとして掲げ、様々な教育活動に取り組んでまいりました。これらの教育活動はいずれも、SDGsの17の目標達成にもつながる部分があります。
以下は、本校における取り組みのうち、特にSDGsとの関わりが深い活動を取り上げたものです。

授業・理科「Tamalogy」

本校は多摩川河口から25km付近の位置(中流域)にあり、校舎から歩いて数分で河原へいくことができます。
また、近隣には地層を観察できる多摩丘陵もあります。本校ではこの地の利を生かして、「Tamalogy」という校外学習プログラムを作成し、30年以上にわたり多摩川の水質と生態系、地層や地形の観察を続けてまいりました。
中学1年時には春の時期に河原の植生の観察や多摩丘陵での地層・地形の観察を行い、中学2年時には実際に多摩川の浅瀬に入って水生生物を観察する実習を行っています。これらの活動を通して自然環境の形成過程やつながりを学び、持続可能な社会を形成するための視点を育んでいきたいと考えています。

授業・i-Time(探究)

中学3年生のi-TimeではSDGsをテーマにした探究活動を行います。テーマごとにグループを立ち上げて、目標達成のために自分たちでできることを「自分事」として考えていきます。テーマに関連した取り組みを行っている企業や一般の方にインタビューを行うなど、校外の方との関わりも積極的に持ち、自ら立てた問いを多角的にとらえる力を養います。
11月には「探究の日」を設定し、各グループの取り組みを発表し、JICAに所属している講師の方に講評をしていただく機会もあります。生徒たちの中には、これまでi-Timeの取り組みをきっかけとして新しい有志活動団体を立ち上げたグループもありました。

授業・カトリック倫理

中学2年生は、「貧困」について取り上げます。貧困の撲滅はSDGs17の目標のうち一つ目に掲げられていますが、身近な問題として捉えにくいものです。貧困の定義や原因を考え、関連する児童労働や教育の問題、フェアトレードについて学ぶことによって、日常生活の中で自分ができることの探求・実践へとつなげます。
中学3年生では、SDGsとは何か、今までの環境問題解決への取り組みや途上国支援と何が異なるのかということを確認します。SDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標、2000-2015)と比べ、「問題は途上国にあり、先進国は途上国を支援すべきである」という姿勢から、「グローバル社会では、あらゆる問題はすべて関連しており、先進国も問題の渦中にある自覚をもって対応すべきである」という姿勢への変化を軸に考えを深めます。
高校2年生では、チョコレート農家を例にフェアトレードに関するロールプレイや、スマートフォンの製造や消費に潜む人権問題などに関連するワークショップを通して、「⑧働きがいも経済成長も」「⑫つくる責任つかう責任」を考えます。 消費者としてどうあるべきか、将来自分はどのような職業を通してどう社会に貢献するのかを問いかけ、身近な商品から見える世界を通して、自身のあり方を模索していきます。

学校生活における取り組み

校内には各階の学年フロアを中心に、可燃ごみ、不燃ごみ、プラスチック容器、ペットボトルの回収用にごみ箱を設置し、ごみの分別を徹底することで、資源回収とごみの減量化を図っています。その他、校内の自治的活動の委員会活動で、生活委員が学校生活を豊かにするルールの考案や改善を行ったり、整美委員が学校の生活環境を整えたりして、生徒たち自ら協働的に生活環境の向上に取り組んでいます。

アンジェラスの会など奉仕活動グループ

アンジェラスの会は「祈る・学ぶ・働く」を指針に集まった有志の生徒たちが小グループに分かれ、活動をしています。現在は、リサイクル可能なものの回収活動を通して環境問題に対する意識を高めたり、障がい者の方々との交流や施設で作られた商品の販売を通して障がい者理解と支援活動を進めたり、海外の貧困に喘ぐ方々の声に耳を傾けてフェアトレード商品の販売や手作りの計算ドリルを送ることで支援に努めたり、東日本大震災の被災地の現況を発表し被災地支援につながる商品の販売を通して支援活動を進めたりしています。
また、その他の奉仕活動グループには、東日本大震災で被災された福島県の農家の方々の支援活動を中心とするグループや、地域の清掃活動やフードドライブに協力し身近なところで困っている方々の支援活動に取り組むグループ、ビーチクリーンやヴィーガン料理の紹介を通して環境問題解決に向けた意識向上を目指すグループ、手製のクライメートクロックを設置し深刻化する気候変動問題の周知活動を進めるグループなどがあります。
いずれもSDGsの複数の目標につながる活動となっています。

後援会活動

保護者による後援会活動でも、持続可能な社会の実現に向けた活動を行っています。
「ヴェスティエール制服再利用活動」では、サイズが小さくなったり、卒業したりして不要になった制服をお譲りいただき、必要な方にお届けする取り組みを行っています。また、ベルマークの回収活動や寄贈品・手作り品の東北被災地への送付を通して、誰もが安心して暮らすことができる社会づくりのお手伝いをしています。さらに、アンジェラス母の会では、有志で近隣の介護施設のシーツ交換や清掃のお手伝いをするなどのボランティア活動を行っています。