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理科庭園

本校校舎の4階バルコニーには、人の背丈より高く伸びた木々がこんもりと茂った一角があります。ふだん生徒も教員もほとんど立ち入ることがなく、学校説明会などでも公開することのない場所です。特に秘密にしているわけではありませんが、とりたてて話題にするほどの出来事もほとんどない場所なので、木々はいつもひっそりと佇んでいます。実はこの場所、「理科庭園」という名称で理科の教員が管理をしている人工庭園なのです。

20年近く経ちますが、校舎を建て替えたときから、武蔵野の原生林を再現する目的で作られ、あまり人が手を加えないで植物の繁殖の経過を観察できるようにしています。つまりほったらかしにして変化を見ているのです。教室1つ分くらいの広さの庭園ではありますが、植生観察の場として、また野鳥の憩いの場として、十分に機能しています。実際、3年ほど前にはカルガモが巣を作り、10羽近いひなを引き連れて散歩する光景が見られたこともありました(このときだけは校内でも少し話題になりました)。

施工当初は、運んできた土の中に種が混ざっていたようで、リンドウが生えて花を咲かてもいましたが、鳥や昆虫たちが運んでくる種や胞子のおかげで、今ではすっかり多摩丘陵地帯の植生となりました。自然の力はすごいものだと感心させられます。
数年後には屋上の防水補修工事が予定されており、理科庭園の存続も検討しなくてはなりません。人間にとってはあってもなくてもいいような小さな生態系ですが、野生動物にとってはどうなのでしょう。

(写真は、高校2年写真部員が撮影したものです。)